▼ 究極のトレーニング法

 
 

▼ 究極のトレーニング法

最近はあちこちで, この「音読」の効果が取り上げられています。 ちょっと前に「声に出して読みたい日本語」 という本がベストセラーになりましたね。 このように,最近では日本語でも 「音読」の重要性が叫ばれています。 当然のことながら, 英語でも音読の占める位置は大変に重要です。 ここまで話を進めてくれば, やはり國弘正雄氏にご登場いただくのが筋でしょう。 國弘正雄氏は「同時通訳の神様」と呼ばれたほどの存在で, アポロ11号が初めて月面に着陸した時の通訳を担当された方です。 國弘氏は以前から音読の重要性について, 機会あるごとに強調されてきました。 氏は著書の中で次のように述べています。
そういう意味で,ヒヤリングの力の伸ばしたかったら,ご自身でも発音の練習に精をお出しなさいということになります。自分が出せる音を,聞き取れぬということはまずありません。これは音の化学変化においてもそうです。自分で音を変化させられれば,聞き取ることも容易です。 (『國弘流英語の話しかた』たちばな出版,1999年,313ページ)
私も,この本は10回ぐらい読みました。 読む度に新しい発見がある本です。 ぜひ,ご一読をオススメします。 音読の重要性がしんから納得できることでしょう。 氏はトマティス・メソッドについては何も触れていません。 しかし,長年の経験から, 耳の使い方にポイントがあることを知っておられたようです。 氏の有名な言葉に「只管音読(しかんおんどく)」というのがあります。 これは禅の「只管打坐(しかんたざ)」にちなんで,氏が考案した言葉です。 言葉の意味は「ただひたすら音読しなさい」ということです。 意味がわからなくても,あるいは意味が完全にわかっていても, とにかく一つの文章を何度も何度も音読する。 何十回,何百回と同じ文章を音読する。 その繰り返しの中で, 英語の持つリズムや語感を理屈抜きで体にしみこませていく。 これが只管音読の極意です。 氏は只管音読のステップを次のように示しています。
第一段 只管朗読の必要に目覚め,テキストを決める。 第二段 テープを聞くと同時に テキストの一通りの意味を理解する。   第三段 単語レベルでの発音が一通りできるようになる。   第四段 途中でつっかえずに,曲がりなりにも 最後まで発音できる。   第五段 構文的な切れ目と音読との関連が理解できる。   第六段 日本語訳に頼らずに 意味が文の先頭から自然にとれる。 (『國弘流英語の話しかた』たちばな出版,1999年,73ページ)
このあと第十段まであるのですが, ここでは第六段まで紹介しておきます。 学校の授業での最終目標は 「本文が日本語に訳せて,ひと通り音読できる」ということでしょう。 ですから,上のステップで言うと, 第三段から第四段で終わってしまうのです。 実にもったいない話です。 只管音読によって,理屈として理解している英語を さらに高いレベルにまで引き上げることが可能となります。 特に第六段の「意味が文の先頭から自然にとれる」というのは, 「語順に沿って英文の意味を理解する」ということと同じです。 意味のわかっている英文を何度も何度も音読することで, さらに深く英語をしみこませることができるのです。 ですから,本当にリスニングの力をつけたいと思うのなら, ただテープやCDを聞いているという受動的な態度では不十分です。 一通り内容が理解できたら, 今度はそれを繰り返し繰り返し音読して, 英文ごと体にしみこませるのです。 それは「日本語に訳せる」という表面的なレベルをはるかに超えた次元です。 日本語を介さずに,英語をそのまま英語として理解するのです。 たかが音読とあなどることなかれ。 それは,まさにネイティブスピーカー並の運用能力をめざした 究極のトレーニング法だったのです。

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